VoicingBoard(略称:VB)は、マンガを描くことをとおして考えを深めることを支援する道具です。与えられた社会問題について自分の意見をまとめたり、人に伝えたりする時のことを想像してみて下さい。ただ自分の思いを強く主張するだけではダメですね。説得力のある意見を構成するには、その問題に関わっている人々(例えば、賛成している人、反対している人、被害を受けている人、利益を得ている人…)の意見や感情、背後の関係を想像して、それらの人々の声に回答し、声と声の間の対立を解いていかなくてはなりません。つまり、自分の頭の中に多くの人の声を取り込んで、それらの声と会話をするように考える必要があるのです。
自分の考えをマンガで表現することは、このような対話的思考の訓練になります。なぜなら、マンガは登場人物とそのセリフによって構成される表現形態だからです。マンガを描く中で、学習者は、その問題に「誰」が関係していて、「どんな声」を発しているか、また、それらの人々が「どのような関係」にあるのかを否応なく考えることになります。そして、ストーリーを組み立てる中で、それらの声と対話し、それらの声を取り込んだ意見を構成していくことになります。
このような、思考訓練のためのマンガ描画を支援するのがVoicingBoardです。VBにログインすると、空白の4コマと登場人物のリストが現れます。登場人物を選んでドラッグ&ドロップすることで、その人物をコマ上に置くことができます。コマの上に置かれた登場人物には自動的に吹き出しが付きます。学習者は、自分が描きたいと思っているマンガのイメージにあった登場人物をコマ上に配置し、そのセリフを書き入れることでマンガを作っていきます。VBには次のような機能もあります。
・吹き出しの種類を変える
・背景画を指定する
・コマを増やしたり減らしたりする
・マンガをスライドショーのように表示する
・2つのマンガを並べて比べる