VoicingBoard

この単元の概要

 新学習指導要領の特別活動編では,その基本方針として,「特によりよい人間関係を築く力」の育成を重視することが掲げられている。「好ましい人間関係を築けない子どもの増加」は喫緊の課題であり、望ましい集団活動を通して,人間関係を築こうとする実践的な態度が求められている。
 そこでこの単元では、「宿泊学習におけるルール作り」を行った。宿泊学習は小学校における集団生活を学ぶ場としては欠かせない活動であり,その場において,自分たちの作ったルールで生活を行う活動は,より良い人間関係を結ぶ力を養ってくれるはずである。
 だがルール作りといっても,子どもたちには宿泊学習は初めての体験であるため,容易に作ることはできない。そこでこの本単元では、ルール作りを促進するために,マンガ表現支援システムVoicingBoardを用いて、様々なシチュエーションをマンガで表現させた。

単元の目標

1. 学級や学校の実態や,児童の発達段階を考慮しながら,創意工夫のあるルール作りをする。
2. 宿泊学習におけるルール作りを通して,児童による自主的・実践的な運営ができるようにする。
3. 互いの意思疎通を図る活動を通して,豊かなコミュニケーション能力を養い,集団における,より良い人間関係を築く。

ICT活用のポイント

○この授業を通して、児童のどんな情報活用能力が伸びるのか
・ 初めての体験である登山や,宿泊生活における場面を想像する力。
・ マンガ表現であるため,他者を意識する感受性や,コミュニケーション力。
・ 自分の考えと他者の考えをスムーズに理解し合う力。
○より良く育成するために、教師にどんな支援・活動が求められるのか
・ 普段からの何気ない落書きを描く感覚で,自由に描かせることで,様々なシチュエーションが子どもから集められる。
・ 他の児童の作品を参考作品として見せ,それをもとに書くように支援すれば,このような状況を考える活動が苦手な児童でも,マンガ作品を仕上げることができる。
・ あらかじめテーマを絞り,それらをテーマごとに印刷して教室に掲示すると,子どもたちはより理解を深めることができる。小学生はパソコン画面でマンガを読むよりも,印刷紙面の方が関心が高い。
○使用するICT
・ インターネットに接続できる児童用ノートPC 22台(1人1台)
・ インターネットに接続できる教師用ノートPC 1台
・ マンガ表現支援システム「VoicingBoard」(略称: VB)(xxページの紹介をご覧下さい)

授業の様子

 宿泊学習が7月上旬に行われるため,そのためのルール作りを6月中に行った。VoicingBoardを用い,登山や活動中にどのような困った場面が想定されるかを漫画で表現した(下図)。
 これらの様々なシチュエーションの中から,代表的なものをまとめ,「活動編」,「登山編」,「室内編」の三つにまとめ,それらの漫画を見ながら,自分なりのルール作りを行った。その後,グループで話し合い,ルール作りに対する考えを深めた。
 ルールとしては,「先生の話を聞く(半数の児童)」,「具合が悪くなったら先生に言う(3分の1の児童)」のようなこれまでとあまり変わらない記述もあった。しかしその中には,「近くにいる人に友達が,おなかが痛い時は,温かいタオルをもらう」「間違えても怒らないで周りの人がフォローする」など,具体的で感情的な面に配慮する記述が見られた。

指導の流れ

梅組(UMEGUMI)

  • 加藤 浩: 放送大学
  • 鈴木 栄幸: 茨城大学
  • 久保田 善彦: 上越教育大学
  • 舟生 日出男: 創価大学
  • 望月 俊男: 専修大学